8月 12 2015
運行供用者責任
自動車による交通事故被害を受けた場合,人身被害については,自動車の運転者に対して不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)ができるほか,自動車損害賠償保障法3条に基づく責任を追及することができます。
自動車損害賠償保障法(通常,「自賠法」と略されます)3条の責任は,「運行供用者責任」と呼ばれます。
運行供用者とは,自動車について運行支配を有し,運行利益の帰属する者をいうとされています。
泥棒によって盗まれたなどの例外的な場合を除き,自動車の所有者は運行供用者に該当します。
そのため,自動車の運転者と所有者が異なる場合,人身被害については,運転者だけでなく自動車の所有者に対しても損害賠償請求をすることができます。
人身被害に限りますので,物損では運行供用者責任を追及することはできません。
自賠法は,自動車損害賠償責任保険(いわゆる自賠責保険)に関する規定が並んでいる法律ですが,自賠法3条の責任は自賠責保険が付されていない場合でも使えます。
運行供用者責任が特に威力を発揮するのは,自動車事故の加害者が任意保険に入っておらず,かつ,運転者と自動車の所有者が異なる場合です。